星出さん乗せたソユーズ打ち上げ成功
―小型衛星放出、船外活動など多彩なミッション
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月15日、星出彰彦宇宙飛行士が搭乗するソユーズ宇宙船が国際宇宙ステーション(ISS)に向けカザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、所定の軌道に投入されたと発表した。星出さんは約4か月間ISSに滞在し、様々な科学実験を行うほか、ロボットアームを使って小型人工衛星を宇宙空間に放出したり、補給船で運ばれてきた物資積み下ろしなどの業務をこなしたりする。
 星出さんの宇宙飛行は、今回が2度目。2008年にスペースシャトルに搭乗してISSに向かい日本実験棟「きぼう」の船内実験室をISSに取り付けた。今回は、それを活用する。
 ISSで初めての実験となるのが衛星を宇宙から軌道に導く作業。日本の補給船「こうのとり」3号機で運ばれる小型衛星と衛星放出装置を「きぼう」の船内で組み立て、「きぼう」のエアロック(気密室)を使って外に出し、「きぼう」のロボットアームでつかんで放出方向に持っていき、放出装置のバネで衛星を軌道に送り出す。
 放出する衛星は、国産3基と米航空宇宙局(NASA)提供の2基の合計5基で、いずれも一辺約10cm大。成功すれば小型衛星の新たな打ち上げ手段になる。また、8月には6時間半にわたる船外活動を行い、NASAの故障したメインバス切替ユニットの交換を行うことにしている。
 もう1つの注目のミッションがメダカの飼育実験。メダカを長期間飼育できる水棲生物実験装置を「こうのとり」3号機で、またメダカをロシアの宇宙船でISSに運び上げ、1、2カ月間宇宙で育てる。無重力が生物に与える影響、なかでも骨や筋肉に与える影響を調べる。地上での骨粗鬆症(こつそそうしょう)や筋力低下の予防につながる知見が得られるのではないかと期待されている。
 このほか、ISS内での微生物の生態に関する研究や、放射線環境モニタリングなどの研究も継続して行う。星出さんのISS滞在中に「こうのとり」のほかロシアの補給船「プログレス」や米国の民間補給船「ドラゴン」が到着する予定。

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「きぼう」からの小型衛星放出イメージ(提供:宇宙航空研究開発機構)