国際共同研究で菌類の種を判別する最適手段見つける
:国立科学博物館

 (独)国立科学博物館は5月17日、国際共同研究により菌類の種を判別する最適の手段を見つけたと発表した。
 地球上の菌類は、150万種以上にのぼると推定されている。しかし、名称が付いているのは、まだ10万種程度といわれる。その最大の理由は、DNA(デオキシリボ核酸)の特定の塩基配列をもとに種を同定する「DNAバーコーティング」と呼ばれる同定法が使えないことにある。
 動物や昆虫などは、ミトコンドリア(細胞の中にある小器官)の特定の遺伝子をバーコード領域として利用するDNAバーコーティングによって種を同定しているが、菌類ではそのバーコード領域が見つかっていないからだ。
 今回の成果は、その壁を破るもので、米国などの研究者と共同で、あらゆる生物の細胞内に存在するリボソーム(リボ核酸とタンパク質の複合体)の「ITS」と呼ばれる領域が、菌類の種の判別に最も適していることを見つけた。
 同博物館は、「菌類に関わる世界中の研究者がITS領域の塩基配列を種同定の基準の一つとして利用していくことになるものと考えられる」とみている。

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