高分子量イオンを高速検出できる装置を開発
:産業技術総合研究所/横浜国立大学/サイバネティクス研究所(伊)

 (独)産業技術総合研究所と横浜国立大学は5月18日、イタリアのサイバネティクス研究所と共同で、タンパク質のような高分子量のイオンをナノ秒(ナノは10億分の1)オーダーの高速で検出できる分析装置を開発したと発表した。
 「超電導ナノストリップイオン検出器」といい、線幅が数百nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)、厚みが数十nmのストリップ線と呼ばれる超電導体(ニオブまたは窒化ニオブ)の超微細な線を数mm角の領域に多数形成して実現した。超電導体にイオンが衝突した時に生じるフォノンと呼ばれる音で超電導状態が壊れることを利用して、イオンを検出する仕組み。
 超電導状態は、電子とフォノンの相互作用で出現することが知られ、超電導体にイオンが衝突してフォノンが発生すると、電子とフォノンの相互作用状態が壊れて超電導状態を維持できなくなる。
 新検出器は、液体ヘリウム中でマイナス270℃に冷やして使用し、ストリップ線にイオンが当たってフォノンが発生するとストリップ線が超電導状態から常電導状態へと変わって抵抗が生じ、それによってナノ秒オーダーのパルス電圧が発生してイオンが検出できるというもの。
 産総研は、ホルモンや免疫グロブリンといった高分子量のイオンでも高速検出できることを確認しているとしている。

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新開発の超電導ナノストリップイオン検出器の拡大写真。写っているスケールの目盛りは1mm(提供:産業技術総合研究所)