「H-ⅡA」21号機打ち上げ成功、初の海外衛星を軌道に
:宇宙航空研究開発機構/三菱重工業

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業(株)は5月18日、韓国航空宇宙研究院(KARI)の多目的実用衛星「KOMPSAT-3(アリラン3号)」とJAXAの第一期水循環変動観測衛星「GCOM-W1(しずく)」など国内外の衛星4基を載せた「H-ⅡA」ロケット21号機を同機構種子島宇宙センター(鹿児島)から打ち上げ、全機を軌道に乗せたと発表した。わが国が海外衛星を受注、打ち上げたのは、今回が初めて。
 発表によると、同日午前1時39分に打ち上げられたロケットは、約16分後に韓国衛星を、約23分後に「しずく」をそれぞれ分離、ほぼ計画通りの軌道に乗ったのを確認した。また、相乗りで打ち上げた2基の小型実験衛星(九州工業大学の「鳳龍2号」とJAXAの「SDS-4」)も、順次切り離しを確認した。H-ⅡAロケットの打ち上げは、2005年の7号機以来、15回連続の成功となる。国際的な信頼の水準の成功率95%を前回達成したH-ⅡAロケットの成功率は、今回95.2%となった。
 韓国の「アリラン3号」は、高解像度の光学カメラを搭載、地上の地理情報などを解析するのが目的という。「しずく」は、JAXAの地球環境変動観測ミッション(GCOM)初の衛星で、搭載の高性能マイクロ波放射計で水の出す微弱電磁波を検出、水蒸気量や海面水温などを地球規模で観測、気候変動研究や気象予測などに活用する。設計寿命は約5年。今後さらに2基の衛星を打ち上げ、15年程度、長期観測する計画になっている。
 わが国の衛星打ち上げ用主力ロケットであるH-ⅡAロケットの打ち上げは、2007年から三菱重工業に移管されており、今回の韓国衛星を含む複数衛星打ち上げ成功は、世界の衛星打ち上げ市場への日本ロケット進出の大きな弾みとなった

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種子島宇宙センターから打ち上げられたH-ⅡA21号機(提供:宇宙航空研究開発機構)