(独)物質・材料研究機構は5月14日、室温で白色に発光する有機物製のペースト状液体材料を開発したと発表した。発光が明るく、様々な形状、材質の素材に塗布でき、色素の調整によるフルカラー化も可能などの特徴がある。照明装置への応用をはじめ、パネルやディスプレーなど印刷法で作る次世代電子デバイスへの適用や用途開拓が期待できるという。 白色に光る有機材料は、蛍光灯や白熱電球などに代わる新たな光源材料として期待されている。これまでに開発された白色発光有機材料は、溶液に溶かした状態では光るが、素材に塗布し溶媒を蒸発させると分子が凝集するなどして発光性能が落ちるという問題があった。 研究チームは今回、紫外光を吸収して青色光を放つ有機材料を開発、これに緑色と橙色の発光色素を混ぜ、白色発光するペースト状材料を得た。開発した有機材料は、蛍光を示す分子の周りにアルキル鎖という鎖状の有機分子を結合、分子の凝集を防いだもので、およそマイナス45℃で固体から液体になり、室温では潤滑油と同程度の粘度になる。このため、有機溶媒に溶かす必要はなく、固体粉末の発光色素を混ぜ込んだペーストを通常のインクや塗料のように扱うことができる。 照明装置などの製造工程を簡略化できるほか、すでに市販されている様々なエレクトロニクス用発光材料を混ぜることでフルカラー発光する液体も容易に調整できることから、有機発光材料としての今後の展開が期待できるという。
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表面に新開発の白色発光材を塗った紫外線発光ダイオード(右)。塗らない物(左)に比べるとずっと明るく光る(提供:物質・材料研究機構) |
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