(独)国立環境研究所は4月17日、九州北部で発生している光化学オゾンによる大気汚染に関する研究成果報告書を発表した。
オゾンは、酸素原子3個でできた有毒物質。化学記号は、「O3」。大気中の窒素酸化物(NOx)と揮発性有機化合物が太陽からの紫外線を受けて反応し発生したオゾンが光化学オゾン。
この報告書は、同研究所が特別研究として行った「九州北部における光化学越境大気汚染の実態解明のための前駆体観測とモデル解析」の結果をまとめたもの。
2007年5月、九州から西日本の広い範囲で高濃度の光化学オゾンが観測されて、大きな社会問題となった。その原因として、中国で排出されたオゾン前駆物質(オゾン生成の原因となる物質)の反応によって生成される光化学オゾンの、いわゆる越境汚染が言われているが、観測が限られていることもあって未だ科学的に不明な点が多い。
同研究所の特別研究は、その実態解明を目指し、中国大陸の影響を観測するのに適した長崎県の福江島(五島市)でオゾン前駆物質の長期連続集中観測とモデル解析を実施したもので、中国からの越境汚染大気中で光化学反応が進んでいることを明らかに示す観測データが得られたと結論している。
No.2012-16
2012年4月16日~2012年4月22日