メートル原器を重要文化財に、文化審議会が答申
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は4月20日、文化審議会(文部科学大臣の諮問機関)が同研究所所有の「メートル原器」を国の重要文化財に指定するよう同日、平野博文文部科学大臣に答申したと発表した。
 メートル原器は、1mの基準として用いられた原器。国際度量衡委員会がメートル原器の製作を開始したのは1876年(明治9年)。白金90%、イリジウム10%の合金地金の製作から始まり、曲げに強い「X」断面のメートル原器30本が完成したのは、それから約12年後、1888年(同21年)末のこと。
 日本がそのメートル原器を注文したのは、メートル条約に加盟した1885年(同18年)。今回重要文化財にするよう答申があったのは、30本のメートル原器の内の「No.22」で、日本がそれを受け取ったのは今から約124年前の1890年(同23年)に遡る。
 このメートル原器、1923年(大正12年)の関東大震災では、第1次定期検査のためフランスの国際度量衡局に送られていて難を逃れ、1944年(昭和19年)の東京大空襲の時も、東京から茨城県の中央気象台柿岡地磁気観測所(当時)に“疎開”していて被害を受けずにすんだ。
 同研究所は、このメートル原器について「わが国従来の複雑な度量衡制度を国際的なメートル法に準拠させるための重要な役割を果たし、その後の日本の産業発展に大きく寄与した」とし、歴史上、学術上の価値が認められ、重要文化財指定になったものと見ている。

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産総研が所有するメートル原器(提供:産業技術総合研究所)