茶殻やコーヒー粕使う殺菌技術を開発
:野菜茶業研究所

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構の野菜茶業研究所は2月29日、茶殻やコーヒー粕を利用する殺菌技術を開発したと発表した。
 新技術は、安全で、再利用資源の茶殻やコーヒー粕を使うのでコストが安く、カット野菜の殺菌、種々の種子の消毒、口腔内殺菌から汚染土壌浄化などまで、幅広い分野での応用が期待される。
 新技術は、硫酸鉄や塩化鉄、砂鉄などの鉄類を酸で溶かし、茶殻やコーヒー粕と混合・反応させたものを殺菌用資材とし、これに過酸化水素を混ぜた時に生じるヒドロキシラジカルで殺菌する仕組み。
 鉄イオンには、二価と三価の状態があり、二価鉄は過酸化水素と反応、ヒドロキシラジカルを生成する際の優れた触媒となるが、二価鉄は三価鉄に酸化され易く、三価では触媒能が大幅に低下する。そこで、研究グループは、茶殻やコーヒー粕の還元力に注目、これらを鉄に混ぜることで二価状態を安定に保つことに成功し、ヒドロキシラジカルによる殺菌が可能になった。
 過酸化水素が二価鉄に作用してヒドロキシラジカルを生成する反応(フェントン反応)の殺菌・分解力は、前から知られていたが、従来のフェントン反応触媒は不安定で使える場面が限られていた。このため、フェントン反応を生かした殺菌作用の広範囲な実用化には、鉄イオンを二価の状態で安定にすることが重要課題とされていた
 同研究所での殺菌テストでは、トマトなどナス科植物の難防除病害である青枯病菌が5分以内に、大腸菌が10分以内に、それぞれ完全殺菌されることを確認。有害物質分解のモデル実験に用いるメチレンブルー(青色素)も20分以内に分解されている。
 また、蛍光色素に加えると、数分間発光することが分かり、蛍光物質と組み合わせて化学発光に利用することも可能という。

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新開発の殺菌用資材。左は茶殻、右はコーヒー粕からそれぞれ作った(提供:野菜茶業研究所)