ダイヤモンド半導体で電力用整流素子を試作
:産業技術総合研究所/大阪大学

 (独)産業技術総合研究所は9月8日、大阪大学と共同で電気自動車や省エネルギー機器など電力機器の制御用に応用が期待されるダイヤモンド半導体による電力用素子の基本部品を試作、その動作を確認したと発表した。
 一方向にだけ電流を流すよう制御する整流素子を、ダイヤモンドを用いて作ったもので、高性能整流素子に必要な高速スイッチング機能などを実証した。研究チームは、シリコンでは難しい高電圧に強く応答速度の速い電力用半導体素子の実現に道を開くと期待している。
 研究を担当したのは、同研究所ダイヤモンド研究ラボの鹿田真一・研究ラボ長らと、大阪大学大学院工学研究科の舟木剛教授の研究チーム。
 実験では、ダイヤモンド薄膜で作った半導体にルテニウム電極を組み合わせて、電力用半導体素子の基本部品であるダイオード整流素子を作製。その特性を測定し、[1]1億分の1秒という高速スイッチングが可能、[2]駆動時のエネルギー損失を表す逆回復電流も1cm2当たり40アンペアで低損失-などを確認、安定した高速動作が可能なことを実証した。
 硬度や熱伝導率が高く化学的安定性にも優れたダイヤモンドは、絶縁破壊に強く電荷移動度も高いため電力用半導体素子として実用化が期待されている。今回、整流素子として高耐電圧・大出力・高速・低損失の性能を持つことが実証できたとして、今後はダイヤモンド基盤を大電流が流せる1cm角級に大面積化することなどに取り組み、実用性の高い素子の実現を目指したいとしている。
詳しくはこちら

試作したダイオード整流素子の外観(提供:産業技術総合研究所)