新しい光通信ネットワークの相互接続実験に成功
:産業技術総合研究所/情報通信研究機構

 (独)産業技術総合研究所と(独)情報通信研究機構(NICT)は8月24日、それぞれが開発している超高精細映像のような大容量情報を従来技術より格段に少ない消費電力で高速に配信できる新しい光通信ネットワークの相互接続実験に成功したと発表した。
 相互接続したのは、産総研が開発してきた「光パスネットワーク」とNICTが開発してきた「光パケット・光パス統合ネットワーク」。これで超高精細映像などの巨大情報をそれぞれが開発してきた新ネットワークで共通に取り扱えることが実証された。
 NHK技術研究所が2025年一般放送開始を目指して開発している総画素数3,300万画素のスーパーハイビジョン(SHV)に代表される超高精細映像などのネットワーク伝送によって多彩な次世代新サービス実現が期待されているが、現在のインターネットのような配信法には情報量に比例して消費電力が増えるという大問題がある。
 この問題解決のカギを握るとされるのがオール光化で、産総研は平成20年度から日本電信電話、富士通研究所、古河電工などと共に「光パスネットワーク」を、またNICTは平成18年度から「光パケット・光パス統合ネットワーク」を、それぞれ開発してきた。
 産総研の「光パスネットワーク」は光スイッチを使って光信号のままでユーザー間を繋ぐ回線交換ネットワークで、これまでの1千分の1以下の消費電力で大容量のデータ転送を目指している。
 一方、NICTの「光パケット・光パス統合ネットワーク」は、情報を小さな単位(パケット)に分割伝送することで通信路を複数の利用者が共用するパケット交換技術と利用者間を結ぶ通信路(パス=回線)を一時占有して情報を伝えるパス交換技術を1つのネットワークの中で提供し、ユーザーが用途に応じて使い分けできるのが特色。
 今度の実証実験では、都心の産総研・秋葉原事業所と小金井市(東京)のNICT本部に必要な機器を設置。NICTがオープンに運用しているテスト用光回線を用いて、産総研の「光パスネットワーク」とNICTの「光パケット・光パス統合ネットワーク」を相互接続、秋葉原~小金井間でテレビ会議などの伝送実験を行った。
 産総研とNICTは、さらにそれぞれの要素技術の高度化を進め、2020年の新ネットワーク実現を目指し連携を強化することにしている。
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