高エネルギー加速器研究機構(KEK)と(独)理化学研究所は5月11日、KEK(茨城・つくば市)の放射光科学研究施設(PF:フォンファクトリー)と、理研の大型放射光施設「SPring-8(スプリングエイト)」(兵庫)に、タンパク質結晶の構造解析専用ビームラインとして世界最高精度の高輝度特性及び低エネルギー利用という異なる特徴を持った2本の放射光ビームラインが完成したと発表した。
文部科学省の委託事業として進められている「ターゲットタンパク質研究プログラム」(平成19年度~同21年度)では、10μm(ミクロン、1μmは100万分の1m)以下のタンパク質の微小結晶解析法などの開発を目指し、KEKのPFと理研のSPring-8で、X線の回折現象を利用して原子レベルでの3次元立体構造を調べるため最適化した2本のマイクロビームラインの開発・整備を進めてきた。
今回稼働を開始したKEKのPFと理研のSPring-8の2本の新規ビームラインは、重要な生命機能に関わる膜タンパク質やタンパク質複合体のように、今まで構造解析できなかった 高輝度タンパク質の微小結晶の構造解析を可能にし、ライフサイエンスの基礎研究や創薬などの分野で重要な微小タンパク質解析研究の未踏領域を切り開くものと期待されている。
両機関は、2本のビームラインが完成したことで、今年秋からの一般共用に向けた課題を募集する。両ビームラインの利用課題申請に関するアドレスは、理研SPring-8のビームラインが、
http://www.spring8.or.jp/ja/users/proposals/call_for/publicfolder_view
KEKのビームラインが
http://pfwww.kek.jp/users_info/pac_application/index.html
No.2010-18
2010年5月10日~2010年5月16日