(独)農業環境技術研究所は12月19日、「セイタカアワダチソウ」で大きく変わった植生を在来植物中心の植生に回復させる技術を開発したと発表した。粉状のアルミニウム化合物を散布することによって外来植物より在来植物に適した土壌環境を作り出すもので、全国的に急速に衰退しつつある草原の保全・再生、道路や農耕地周辺部の生物多様性に配慮した緑化に役立つと期待している。
今回は、特に外来植物として問題になっているセイタカアワダチソウに注目、その蔓延を抑えながら在来植物が育ちやすい土壌環境を研究した。その結果、酸性度が強く貧栄養的な土壌では外来植物が蔓延しにくく、反対にチガヤやススキなどの在来植物は生育し易いことを突き止めた。外来植物が農業でアルカリ化・富栄養化した土壌環境を好んで生育するためと考えられる。
そこで、土壌を酸性化・貧栄養化させる物質として粉末状の「塩化アルミニウム6水和物」を選び、セイタカアワダチソウが繁茂する果樹園跡地1㎡当たりに1.2kgを散布した。これで、粉末から溶け出したアルミニウムイオンが、土壌を外来植物の苦手な酸性にする一方、リン酸の溶解度を下げるなどして土壌の貧栄養化が起こる。
試験の結果、散布1年後にはチガヤが旺盛に生育、反対にセイタカアワダチソウは約2年間にわたって生育が抑えられた。散布場所には、チガヤ以外にも多くの在来植物が繁殖、約13カ月後には非散布場所と同程度にまで植物量が回復し、その後も維持された。
今回の成果について、同研究所は「今後はセイタカアワダチソウ以外の外来植物群落に対する効果も明らかにしていきたい」といっている。
No.2011-51
2011年12月19日~2011年12月25日