宇宙が何故3次元空間なのかをスパコンで解明
:高エネルギー加速器研究機構/静岡大学/大阪大学

 高エネルギー加速器研究機構は12月22日、あらゆる物理現象を説明する究極の理論とされる「超弦理論」に基づいて、宇宙が何故3次元空間なのかという謎を世界で初めて解明したと発表した。超弦理論では、宇宙は9次元空間であることを予言しているが、スーパーコンピューターによるシミュレーション実験で宇宙誕生のある時点から9次元の内3方向の空間だけが急速に膨張し始めることを示した。
 解明したのは、同機構の西村進・准教授、静岡大学の土屋麻人・准教授、大阪大学の金相佑・特任研究員の研究チーム。
 超弦理論は、宇宙を構成する全ての素粒子を一次元的な広がりを持つ「ひも」の振動で表現する理論で、宇宙で働く全ての「力」を統一的に理解できる究極理論とされている。現在の素粒子物理学の基礎となっている標準理論では扱えない重力もまとめて理解できるとして注目されている。ただ、超弦理論では、宇宙は時間1次元と空間9次元と予想され、現実の宇宙が何故時間1次元と空間3次元であるのかが謎とされていた。
 研究チームは、宇宙が時間と共にどのように変化するかを超弦理論で効率的に数値計算する手法を確立、宇宙誕生後の空間の広がり方をシミュレーションした。その結果、初めは空間が9次元的に広がるのに、ある時点を境に3次元方向だけが急速に大きくなることが分かったという。
 研究チームは、「超弦理論が予測する9次元空間から実際に我々の住む3次元空間が出現することが示せた」と話している。

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