(独)産業技術総合研究所、岩崎電気、東海大学、(独)科学技術振興機構は5月10日、共同で新しい簡便な活性酸素検出モニターを開発したと発表した。 活性酸素は、通常の酸素の数十倍もの酸化力があり、洗浄、改質、酸化、殺菌などの表面処理に幅広く利用されている。しかし、空間中の活性酸素を計測するこれまでの装置は、いずれも価格が数千万円以上と高価な上、大型という欠点があり、簡便に計測できる手段がなかった。 新開発の活性酸素検出モニターは、水晶振動子の上に形成したポリイミドなどの有機系の薄膜と活性酸素との反応による薄膜の質量変化を水晶振動子の共振周波数の変化量として捉え、活性酸素量を算出するというもの。 これまでも、水晶振動子上に銀の薄膜を形成し同様の原理で活性酸素を計測する方法は知られていたが、銀薄膜の表面が酸化銀で覆われてしまうため長期にわたってモニターとして使うことができなかった。 それに対し、新モニターは、活性酸素との反応によって常に新たな有機系薄膜が表面に露出し、それが活性酸素に触れるので連続して長期にわたって計測できる。有機系薄膜の種類を変えることによって検出感度も変えられる。 水晶振動子への有機系薄膜の形成は、緻密な薄膜が得られる方法として広く一般に使われている高周波スパッタリング法で行う。 既に岩崎電気がこの簡便な活性酸素検出モニターの商品化を決めており、2011年中に1台150万円以下で販売する予定という。 詳しくはこちら |  |
有機系薄膜をコーティングした水晶振動子。左右別々の種類の有機系薄膜がコーティングされている(提供:産業技術総合研究所) |
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