「高温超伝導バルク磁石」で4.7テスラの強磁場発生に成功
:筑波大学/理化学研究所など

 筑波大学、(独)理化学研究所、(株)エム・アール・テクノロジー(茨城・つくば市)は5月11日、高温超伝導体をコイル状に巻かず塊(バルク)のまま磁石として使い4.7テスラ(1テスラは1万ガウス)という強い均一磁場を発生させることに成功、核磁気共鳴による顕微鏡が実現できる見通しが得られたと発表した。「高温超伝導バルク磁石」といい、実験では0.05mmという高い分解能の磁気共鳴画像(MRI)が得られたという。バルクを使うことで机に載る小型装置が低コストで実現でき、将来は医療診断などに使われているMRI装置の利用が小型動物の検査や食品・材料評価などの分野にも広がりそうだ。
 今回用いたのは、イットリウム系銅酸化物の高温超伝導体「ユーロピウムバリウム酸化銅(EuBCO)」。これを外径6cm、内径2.8cm、厚さ2cmのドーナツ型に加工して6層重ね、冷凍機でマイナス223℃に冷やしながら4.7テスラという強い磁場の中で磁化させた。その結果、磁石内部の空間(直径6.2mm、長さ9.1mm)に、均一で安定した4.7テスラの磁場ができることが分かった。
 そこで、これをMRI用磁石として利用、野菜のセロリやマウスの胎児のMRIを撮影したところ、それぞれ分解能0.1mm、0.05mmの画像が得られた。通常のMRIの分解能がミリ単位であるのに比べ一桁以上高く、核磁気共鳴を利用した顕微鏡(MRマイクロスコピー)の実現にも道が開けるという。
 また、通常の冷凍機で駆動できるため装置の小型化・低コスト化も可能で、MRIの応用分野拡大につながるとしている。

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