(独)農業・食品産業技術総合研究機構は4月27日、モリブデン化合物が水稲の苗の定着を良くする仕組みを解明したと発表した。
稲作では、省力化や生産コスト削減のため田植えを必要としない直播(じかま)きが注目され、種子にモリブデン化合物をまぶすと「苗立ち」と呼ばれる苗の定着が良くなることを同研究機構が見つけている。
今回、なぜモリブデン化合物により苗立ちが良くなるのかその仕組みを解明したもので、5年以内の実用化を目指して今春から実証試験を開始するとしている。
苗立ちは、まいた種子が出芽した後土壌に根付いて定着することだが、種子を直接水田に播種する直播き栽培では苗立ち不良がおきやすい。
同機構が見つけたモリブデン化合物をまぶす方法は、苗立ち改善策として期待されているが、モリブデン化合物を使うと水稲の生育に有害な硫化物イオンの生成が抑制され、苗立ちが改善されることが分かった。
モリブデン化合物は、これまでも肥料に添加して使われているが、安全性や適正な使用量などをこれからの実証試験で明らかにしていくことにしている。
No.2011-17
2011年4月25日~2011年5月1日