高エネルギー加速器研究機構(KEK)は4月28日、日米欧の研究機関が協力して、つくば市(茨城)の同機構で進めていた超伝導加速空洞の国際共同実験が無事終了したと発表した。 超伝導加速空洞は、荷電した粒子を加速する加速管のことで、KEKが欧米と共同で建設を計画している「国際リニアコライダー(ILC)」と呼ばれる超大型の直線(リニア)型粒子加速器の心臓部。今回の実験終了でILC計画は、大きく一歩前進したことになる。 粒子加速器には、直線型と円形型がある。現在世界で最大・最高性能の加速器は、スイスにある円形型の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で、一周の長さが約27kmある。 直線型のILCは、それを上回り、全長約40km。電子と陽電子を光速まで加速し、正面衝突させて宇宙の始まりのビッグバンと同じ状態を作り出すことを狙っている。 そのILCの心臓部である超伝導加速空洞の開発プログラムは、S0 、S1、S2の3段階からなり、今回終了したのはその内の「S1グローバル試験」。実験は、米国・欧州製各2台、日本製4台の計8台の超伝導加速空洞を使って1年余りにわたって行われ、7台の同時運転に成功、各種機器が十分機能することを確認した。夏までに実験の報告書をまとめ発表する予定という。 詳しくはこちら |  |
日米欧による国際共同実験が行われた超伝導加速空洞施設(提供:高エネルギー加速器研究機構) |
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