金属などの三次元組織像を得る3D顕微鏡を開発
:物質・材料研究機構/中山電機

 (独)物質・材料研究機構は3月3日、(株)中山電機と共同で、金属材料や無機材料の三次元(3D)組織像を効率良く得る卓上型の3D顕微鏡「Genus-3D(ジーナス・スリーディー)」を開発したと発表した。
 数μm(マイクロメートル、1μmは100万分の1m)から数百μmほどの大きさの金属の内部組織の3D像を見るには、機械研磨と光学顕微鏡観察を繰り返す逐次研磨法(シリアルセクショニング法)が用いられているが、手動では100枚の画像を得るのに数カ月もかかり、もっと早く処理できる自動装置の開発が求められている。米国の大学などでは、ロボットアームなど使って研磨装置と光学顕微鏡の間を自動的に移動させたりしているが、装置が大きく、高価なほか、移動が水平方向なため位置合わせの精度に課題が残されている。
 今回開発された3D顕微鏡「Genus-3D」は、総重量約40kgの卓上型で、一連の組織観察過程である観察、研磨、洗浄・エッチング(腐食処理)を繰り返し全自動で行い、そこで得た逐次研磨像を再構築することによって材料の3D組織像を得るという仕組み。研磨から撮影までの所要時間は、1サイクル当たり10分以下。100枚の逐次研磨像撮影も一日以内で終わる。
 研磨量の測定は、2台の高精度レーザーにより行い、精度0.1μmを確認している。エッチング、清浄、乾燥の時間と間隔は、任意に設定できる。
 材料の組織を効率良く3D可視化できることから同機構は、材料の破壊機構解明などに利用できると見ている。

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