世界最高性能の薄膜コンデンサーを開発
:物質・材料研究機構

 (独)物質・材料研究機構は8月24日、世界最高性能の薄膜コンデンサーを開発したと発表した。
 コンデンサー(蓄電器)は、電圧をかけると、電圧に応じて電気を蓄える機能を持つ電子素子。携帯電話、パソコンをはじめあらゆる電子機器に使われ、より小型、大容量のコンデンサー開発が求められている。
 新薄膜コンデンサーは、カルシウム、ストロンチウム、ニオブ、酸素からなる厚さ10nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)以下の「ペロブスカイトナノシート」と呼ぶ極薄シートを発見し実現した。同機構は、従来のチタン酸バリウム系薄膜コンデンサーの20分の1の大きさと、10倍以上の大容量化を同時に達成できるといっている。
 現在の薄膜コンデンサーの主流は、チタン酸バリウムなどを使った積層セラミックスコンデンサーだが、薄膜化は100nm程度が限界と見られている。
 新開発のペロブスカイトナノシートもチタン酸バリウムと類似の結晶構造を持つが、ニオブを加えて誘電率(蓄える電気量の大きさ)アップを実現。膜厚10nm以下で世界最高の誘電率(200以上)を持つ薄膜コンデンサーの作製に成功した。
 新薄膜コンデンサーは、高誘電特性に加え、周波数特性、温度安定性、絶縁特性なども優れている。
 また、ペロブスカイトナノシートは、極薄ながら絶縁特性が良いことから、電子機器の絶縁材料や、半導体素子などにも好適という。
 新薄膜コンデンサーは、大型の真空装置や高価な成膜装置を必要としない低コスト、低環境負荷のプロセスで作れる。このため同機構は、「エネルギー節約や地球環境保護に貢献する次世代のグリーンプロセスとしても重要な役割をはたすことが期待される」といっている。

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