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iPS細胞を品質管理できる新顕微鏡―生きたまま多能性を評価:筑波大学

(2019年2月8日発表)

 筑波大学は2月8日、再生医療に使われるiPS細胞の品質を定量的に評価する顕微鏡システムを開発したと発表した。生きた細胞をそのまま観察するだけで、さまざまな臓器の細胞になれる能力をどの程度持っているかを示す多能性を簡単に素早く調べられる。再生医療の成否にかかわる細胞の品質管理が大幅に省力化・低コスト化できると期待している。

 再生医療はiPS細胞やES細胞(胚性幹細胞)が持つ多能性を利用してさまざまな臓器の細胞を培養して増やし、患者に移植、傷んだ細胞や組織を修復する治療法。移植する細胞の多能性が低いと、治療できないばかりでなく腫瘍などの原因にもなる。そのため治療に用いる細胞を培養する際には細胞の多能性を評価し、厳重に品質管理する必要がある。

 筑波大の西村健准教授、久武幸司教授らの研究グループは、オリンパス(株)が開発した特殊な顕微鏡「RM-DIC」を改良、細胞内にある微小構造を直接画像化できるシステムを開発した。通常、必要とされる細胞の染色作業も必要なかった。さらに研究グループは、新技術で観察できる微小構造の量が、ミトコンドリアと呼ばれる細胞内小器官の量を反映したものであることを突き止めた。

 研究グループは、これまでの研究からミトコンドリアの活性がiPS細胞の多能性と関係が深いことを突き止めている。そこで今回はその点に注目、新しい顕微鏡システムでミトコンドリア量を定量的に評価する技術を確立するとともに、ミトコンドリア量からiPS細胞の多能性が評価できることを確認した。

 研究グループは、新しい顕微鏡システムについて「多能性幹細胞の品質管理に関わる労力やコストを大幅に削減できる可能性を持っている」として、再生医療の実用化に大きく貢献すると期待している。