海洋に漂うプラスチック中の添加剤由来化学物質を分析―微細化しても化学物質に関する懸念は低下しない:国立環境研究所ほか
(2026年7月24日発表)
(国)国立環境研究所と東京海洋大学、長崎大学の共同研究グループは7月24日、海洋を漂流するプラスチックごみやマイクロプラスチックに含まれる添加剤由来の化学物質を分析したところ、多様な化学物質が検出され、物質ごとに異なる環境中での挙動が示されたと発表した。
管理上注目すべき濃度の化学物質を含むマイクロプラスチックが漂流していることも確認されたという。プラスチックごみがマイクロプラスチックへと細かく砕けても、化学物質に関する懸念が必ずしも低下するわけではないことが示されたとしている。
プラスチック製品には、機能や耐久性を高めるため、酸化防止剤や可塑剤、紫外線吸収剤、難燃剤などの添加剤が使用されている。環境中へ流出したプラスチックは紫外線や波浪などの影響を受けて劣化・微細化し海洋中を移動する。化学物質の一部は人や生態系への影響が懸念され、国際条約や各国・地域の法令による規制・管理の対象になっている。
これまで海岸に漂着したプラスチックごみなどから添加剤が検出されてきたが、海洋表層を漂流するマイクロプラスチックと、沿岸域などから回収された大型プラスチックごみとを比較しながら、添加剤由来の化学物質がどの程度残留し、環境中でどのように移行・変化するかを体系的に評価した研究は限られていた。
研究グループは今回、海洋に流出したプラスチックに含まれる化学物質の環境動態と、リスク管理上の課題を明らかにすることを目的に、マイクロプラスチックと大型プラスチックごみを日本周辺で採取し、添加剤由来の化学物質を分析した。その際、粒子の大きさ、材質、採取環境による違いに留意し比較した。
その結果、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、難燃剤など多様な化学物質が検出された。特に、酸化防止剤のIrgafos168、可塑剤のDEHP、難燃剤のHBCDについては、溶出、周辺環境からの吸着、粒子中への残存など、物質ごとに異なる挙動が明らかになった。
また、プラスチックの微細化に伴って添加物由来の化学物質が一律に失われるわけではなく、マイクロプラスチック中に残存する物質や、周辺環境から吸着的に取り込まれる物質があることが示された。
今後は、マイクロプラスチックがどの程度生物に取り込まれ、マイクロプラスチックに含まれる添加剤由来化学物質が生態系への影響にどの程度寄与するかを明らかにする必要がある、と指摘している。



