無花粉スギの新たな原因遺伝子明らかに―苗木段階で無花粉スギの選抜も可能に:森林総合研究所ほか
(2026年7月23日発表)
(国)森林総合研究所と新潟大学、基礎生物学研究所、岡山大学などの共同研究グループは7月23日、花粉を飛散しない無花粉スギの一種「MS2タイプ」の花粉形成に関わる最有力候補遺伝子を突き止めたと発表した。花粉発生源の対策につながる成果で、スギ花粉症減少への貢献が期待されるという。
無花粉スギは正常に花粉ができないスギで、その原因となる変異遺伝子を雄性不稔遺伝子という。雄性不念遺伝子はこれまでにMS1~MS5タイプまでの5つのタイプが見つかっており、このうちのMS1とMS4については原因遺伝子が明らかにされ、現在はMS1を中心に無花粉スギの利用が進んでいる。
MS1やMS4とはタイプの異なるMS2タイプも、無花粉スギの利活用を広げる上で重要だが、原因となる遺伝子が存在する染色体領域はわかっているものの、遺伝子の正体はこれまで不明だった。
研究グループは今回この解明を目指し、原因遺伝子の同定に取り組んだ。研究では、人工交配家系を用いた解析、スギ参照ゲノム配列、雄花の遺伝子発現解析という研究手法を統合、活用した。
まず人工交配家系の遺伝解析により、MS2遺伝子が存在する領域を第5染色体上に絞り込んだ。次にスギ参照ゲノム配列を用いて同領域内の遺伝子を調べ、この範囲に存在する全ての遺伝子91個を抽出した。これらの遺伝子について、花粉形成との関連、雄花での発現、遺伝子の機能に影響しそうな変異の有無を調べたところ、3つの条件をすべて満たす遺伝子(GELP遺伝子)の特定に成功した。
無花粉スギ(MS2タイプ)では、このGELPのDNA配列に1塩基の違いがあり、それが酵素の働きを狂わせていると考えられるという。GELPはMS2タイプの花粉形成の異常を矛盾なく説明することができるという。
研究グループはこの遺伝子の変異である1塩基の違いを検出する簡便なDNAマーカーも開発し、MS2タイプをDNAレベルで判定する方法を示した。これにより幼苗段階でMS2タイプの無花粉スギの選抜を可能にした。
今回の研究成果は無花粉スギの遺伝的理解を深めるとともに、花粉発生源対策に向けた技術基盤としての活用が期待されるとしている。



