ナスの難病「青枯病」に強い初の品種を開発―全国普及を目指し種苗の販売を開始:農業・食品産業技術総合研究機構
(2026年5月27日発表)
(国)農業・食品産業技術総合研究機構は5月27日、ナスの難病「青枯病(あおがれびょう)」に対し強い抵抗性を持つ品種の開発に成功、その全国普及を目指し栽培の要点などをまとめた「標準作業手順書」を公開した、と発表した。すでに民間企業が苗の販売を始めている。
ナスは、主要野菜の一つ。農林水産省が毎年発表している生産農業所得統計によると、ナスの2023年度時点の国内産出額は825億円を記録しているが、難病の青枯病被害が全国的な問題になっている。
青枯病は、感染すると萎れ(しおれ)や、枯死(こし)を引き起こす病原性細菌群を病原とする植物の伝染病で、土壌中の病原体が根を通じて植物の体内に侵入して増殖し吸水を妨げることで植物を枯死させ、ナス科のほかマメ科など多くの植物に被害を与え、この病気に感染した株は僅か数日で枯れてしまうとまでいわれている。
また、青枯病菌は、水で運ばれて土中深くまで侵入して長期間生存するためにいったん汚染されると菌を完全に取り除くのが難しい。
加えて、青枯病は25~35℃の地温(地中の温度)が発病適温なため、近年の温暖化でより広い範囲の土壌が長期にわたってその発病適温になり被害範囲がさらに拡大するのではないかと心配されている。
今回の新品種は、青枯病に強い抵抗性を持ち、名称を育成地の三重県津市安濃(あのう)町にちなんだ「あの」に、果実が良く実ることを意味する「みのり」を組み合わせた「あのみのりパワー」という。
津市にある青枯病菌汚染ほ場を使って実施した青枯病への抵抗性を調べる栽培では、枯死株率0%という結果を記録している。得られるナスは、長卵形で、市販品種と同等以上の収量性があって実用性の高い品種であることを実証した。
去る5月21日に全国的な普及を目指して公開した標準作業手順書は、栽培地域や条件に応じた要点・留意点を整理して記述すると共に、青枯病抵抗性を十分に発揮させるための管理方法や、着果の安定性・収量向上につながる栽培のポイントを解説している。



