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稲の高温対策、栽培時期の変更に水不足予測も―気候変動への適応策でモデル化:農業・食品産業技術総合研究機構

(2026年5月27日発表)

 猛暑などによる水稲の高温被害を防止するため、田植えを早く開始するなど栽培時期を調整する「気候変動への適応策」を検討してきた農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は、変更時期などを判断する際に「コメの収量・品質の確保」だけでなく、「農業用水の安定利用」の面からも評価するモデル手法を開発したと発表した。全国の自治体が進める気候変動適応計画の策定に当たって活用できる新手法だとしている。

 近年、温暖化などの気候変動は農業生産や水資源管理に深刻な影響を与えている。水稲の高温被害は花が咲く出穂期から発育する登熟期にかけて、高い気温にさらされると、未成熟の白色の粒が多くなるなど品質の低下が報告されている。一方で雪や雨の降り方が変わって河川流量が変動することで、大量の農業用水を必要とする水稲作への影響がますます懸念されてきている。

 稲作の気候変動適応策として農研機構は、高温耐性の新品種の開発だけでなく、出穂期が高い気温の時期になるのを避ける方法として栽培時期を調整する適応策に力を入れている。田植え期を早めたり、逆に遅くしたりすることで、収穫されるコメの量や質がどう変わるか、また過去の河川流量観測データと今後の気候変動に伴う流量変化予測から、取水地点で利水量に不足するリスクがあるか、という両面から栽培時期の変更を評価する手法を作成した。

 モデル化にあたり、長野県の信濃川下流域を対象に、コシヒカリの栽培時期を平年に比べ5週間早めから5週間遅めまで1週間ごとの場合をシミュレーションした。その結果、栽培を早めれば収量は増加、農業用水の不足もなかった。一方、栽培時期を遅らせると品質は上がるが、秋になって日照量が少なくなり収量は低下、将来的に水不足のリスクは高まると予測された。

 稲への高温影響は、地域の気象や地形、採用している品種、栽培法、水管理などの条件で異なる。農研機構は今後、全国の地方自治体、河川管理者、農業者が協働して気候変動適応計画を検討する際に、この新モデル手法が判断材料に役立つと期待。地域の特性を踏まえ、栽培期間の分散をはじめ高温耐性品種の導入、さらに水利調整などさまざまな対策を取り入れた適応策を進めていってほしいという。

水稲の栽培期間の変更が農業用水の不足リスクに及ぼす影響のイメージ ©農研機構