南極12m電波望遠鏡計画―銀河進化の解明へ:筑波大学ほか
(2026年7月8日発表)
筑波大学や国立天文台などの研究チームは7月8日、南極大陸内陸部の高地で建設を目指す口径12mの「南極テラヘルツ望遠鏡(ATT12)」では宇宙の初期から形成最盛期にかけての銀河を100万~1,000万個規模で発見できる可能性があると発表した。この時期、銀河は塵に覆われて可視光では観測できないため、宇宙初期における星の形成史や銀河進化の解明に重要な役割を果たせると期待している。
関西学院大学や早稲田大学、東北大も参加する研究チームが進めているのは、周波数が毎秒1兆回程度振動する周波数帯の電磁波「テラヘルツ波」を捉える電波望遠鏡を2028年度以降に建設する計画。南極内陸部の高地は大気中の水蒸気が極めて少ないため、宇宙からやってくる電波と光の中間の波長を持つテラヘルツ波を捉えるのに最も適している。
研究チームは今回、こうした環境下で広い視野を持つ南極テラヘルツ望遠鏡がどのような観測性能を発揮できるかの評価を試みた。新望遠鏡は多くの波長帯の電磁波を捉えることができる広視野多色カメラと、波長別に電磁波を捉えられる分光器を備えることを想定している。今回の評価の結果、塵に覆われて従来は観測が難しかった銀河を100万~1,000万個規模で発見できる見通しを得ることができた。
さらに、光や電磁波の強さを波長別にとらえられる分光器を用いた観測についても評価した。その結果、銀河の星間媒質中に含まれる酸素イオンや炭素イオンから放射される遠赤外線輝線を測定することで、銀河内部のガス密度や元素組成なども調べられることが分かった。
これらの結果から、研究グループは南極テラヘルツ望遠鏡が稼働すれば「宇宙初期の銀河でどのように星の形成や元素合成が進んだのかを、詳しく理解できるようになる」とみている。今後は望遠鏡や観測装置の具体的な設計・開発を進めるとともに、観測戦略の更なる高度化を進めたいとしている。



