レアアースを用いずに高感度な応力発光を実現―体内の情報読み取りや建造物の老朽化遠隔監視可能に:東北大学筑/筑波大学ほか
(2026年5月26日発表)
東北大学、筑波大学、佐賀大学の共同研究グループは5月26日、レアアースを用いずに高強度かつ高感度な応力発光を実現したと発表した。応力発光は応力やひずみ、振動などの機械的エネルギーを直接光に変換する現象で、今回の成果により、生体内の情報を読み取る医療センサーや、橋梁、建造物の遠隔監視診断などの応用開発が期待されるという。
機械的なエネルギーを受けると光を発する応力発光材料は、電源や配線を必要としない自立型センサー材料として、今後の応用が幅広い分野で注目されている。
しかし、実用レベルの強い発光を得るには、複雑で制御の難しい結晶構造を持つ材料や、資源・価格面で制約の大きいレアアースの添加が不可欠と考えられていた。
また、これまでの応力発光材料は、発光させるためにギガパスカル級の大きな力を必要とすることが多く、日常的な微小振動や、体内を伝わる超音波のような微弱な刺激には反応しにくいという感度上の課題もあった。
研究グループは今回、化粧品などに広く用いられている身近で安全性が高く、安価で、かつ半導体特性や発光特性に優れる酸化亜鉛に着目、応力発光材料としての可能性を引き出す研究に取り組んだ。特にレアアースを用いずに実現することを目指した。
研究では、酸化亜鉛の電子状態をナノレベルで制御する技術を駆使して欠陥構造を制御し、レアアースを用いずに高強度で発光する新材料を得た。
従来の材料はレアアースや複数の元素を必要とし、発光には強い力を要したが、酸化亜鉛に微量のナトリウムを添加することで、極めて高い感度と低コスト化を両立した。
開発した酸化亜鉛は750nm(ナノメートル、1nmは100万分の1mm)を中心波長とする近赤外域で発光する。この波長の光は身体を透過しやすく、超音波など外部からの微弱な振動によって体内の応力発光体を無電源で発光させれば、生体内の情報の読み取りが可能となる。また、橋梁や風力発電設備などに塗布するだけで、目に見えない微小な劣化やひずみを光として可視化でき、老朽化が進むインフラの遠隔監視を低コストで実現できる可能性がある。
研究グループは今後、企業などとの共同開発を精力的に進め、実用化を目指したいとしている。



