サッカーの熟練者は守備者との関係を操作し、ドリブルで突破する―間合い、相対速度、加速などを統合的に操作し、守備者との関係を3次元で解析:筑波大学ほか
(2026年5月21日発表)
サッカー競技の華麗な見せ場の一つについて、筑波大学と苫小牧工業高等専門学校の研究チームは、熟練者のドリブル操作を定量的に分析し、その力学的特徴などを明らかにしたと5月21日に発表した。熟練者は相手の守備(ディフェンダー)との間合いや相対速度、加速を統合的に操作しながら両者の関係性を変化させていた。成果は今後のドリブル指導やトレーニングプログラムの開発、実践的なコーチング指針に活かされる。
サッカーのドリブルは、相手の守備をかわして攻撃のチャンスを生み出す重要な技術である。特に相手陣を突破するドリブルは、試合の流れを大きく変えるプレーとして重視されている。
これまでのドリブル研究は、三角コーンなどの障害物を使った静的な分析が多かった。実際の試合は守備者との間合いや速度、タイミングなど実践的なドリブル動作の解明が必要になる。
地域での選抜経験のある大学生と中学生を「上級者」と位置付け、中でも大学生の上級者を「熟練者」と定義した。守備者と対決するドリブルの「シザースフェイント」の動作特性を分析した。
シザースフェイントは、ドリブル中に足を外側から内側へ「またぐ」フェイントで、相手の判断を狂わせるための高度な騙(だま)しのテクニックをいう。
測定は攻撃者と守備者にカメラが認識できるマーカーをつけ、攻撃者が守備者を突破する際の実践的なドリブル操作を2台のカメラで撮影し、3次元動作解析をした。
ポイントは、①身体重心速度と加速度、②守備者との相対速度、③攻撃者と守備者との間合い、④体幹傾斜角度、⑤支持脚の股関節運動の測定に注目した。
なかでもフェイント動作を、「アプローチ(接近)局面」「フェイク(欺(あざむ)き)局面」「ペネトレーション(突破)局面」の3つの局面に分け、熟練者の動作戦略を時系列で分析した。
その結果、熟練者の動作について次の4つのことが分かった。
①攻撃者は素早い重心速度で守備者に接近し、間合いを積極的に縮める。
②守備者との相対速度を一度接近させた後に、急激に拡大する。
③迅速なボールまたぎと体幹傾斜を大きく使ってフェイク動作を行う。
④支持脚の股関節を加速させて突破する。
熟練者のドリブル操作の鍵は、単に速い動作だけではなく、「守備者との関係性の操作」であることが明らかになった。



