認知症患者の介護負担軽減―アザラシ型ロボット「パロ」が軽減:東京都立大学/金城大学/兵庫医科大学/東京慈恵医科大学/産業技術総合研究所
(2026年3月27日発表)

パロ体長約57㎝、重さ2.6㎏(画像提供:産総研)
認知症の高齢者がアザラシ型の介護ロボット「パロ」と触れ合えば、介護者の負担は軽減できる。東京都立大学と金城学園、(国)産業技術総合研究所などの研究グループは3月27日、このような研究結果を発表した。パロと触れ合う頻度が高いほど介護者の負担感が減り、高齢者の症状にも良い影響を与えるという。介護人材が不足する中で、介護現場の業務改善やケアの質向上に役立つと期待している。
パロは動物との触れ合いで人の心をいやす「アニマルセラピー」に注目した産総研が開発したAI(人工知能)ロボット。生きているアザラシのように愛らしい反応を示すことから、認知症患者などの行動・心理症状の改善効果が注目されていた。今回の研究では特に認知症患者の介護者に注目、その負担感がパロの導入でどう変えられるかを調べた。
研究グループには兵庫医科大学、東京慈恵会医科大学も加わった。認知症の高齢者85人を対象にパロと自発的に触れ合える環境を1カ月間続け、介護者の負担感がどう変化するかを調べた。具体的には触れ合いの活動を毎回1時間、週3回行うグループと、同じく週1回行うグループに分け、1カ月後に介護者の負担感がどのように変化したかを比べた。
その結果、週3回のグループでは介護者の負担感が統計学的に見て明らかな改善がみられたという。一方、患者自身の徘徊や暴言・暴力、過食や拒食、同じ行動を繰り返すなどの行動・心理症状の重症度については感染症流行の影響もあり、十分なデータが取れず統計学的な有意差はみられなかった。ただ、臨床的には明らかな改善傾向がみられたという。
パロについては、米国や欧州などで認知症を含むさまざまな患者の「行動・心理症状の改善効果」が認められており、医療機器として扱われている。ただ、介護者の負担にどのような影響があるかについてはこれまで十分なデータはなかった。
今回の成果について、都立大の井上薫教授は「日本発のロボットのかわいいパワーの根拠を科学的に検証した」「多忙な現場で業務改善とケアの向上を目指すすべての関係者にとって、大きな希望になる」と話している。



