AIを用いたアスベスト計測支援システムを開発―アスベストの迅速な漏えい監視と分析業務の効率化に寄与:国立環境研究所
(2026年3月30日発表)
(国)国立環境研究所、(株)環境管理センター、日本エヌ・ユー・エス(株)の共同研究グループは3月30日、AIを用いたアスベスト計測支援システムを開発したと発表した。アスベスト繊維の検出・計数作業を自動化でき、アスベストの迅速な漏えい監視、分析業務の効率化が期待されるという。
アスベストは石綿とも呼ばれる繊維状の鉱物。耐久性、保温性、断熱性、防音性、電気絶縁性、耐薬品性などに優れ、ビルの保温・断熱材をはじめ、ブレーキライニングやブレーキパッドなど各種用途に広く用いられてきた。
ところが、ビルの解体などで飛散したアスベスト繊維を吸った人たちに肺がんや中皮腫などが認められ、日本では大気汚染防止法により、建造物の解体・除去作業工事におけるアスベスト飛散防止を目的とした作業基準が定められている。
しかし、不適切な作業に伴う漏えい事故は依然として発生しており、漏えいを早期に検出し是正するため、空気中アスベスト繊維数濃度の迅速測定法が求められている。
研究グループは熟練の分析者が行っている飛散繊維の検出・計測作業にAIを導入して自動化し、作業の大幅な時間短縮と、熟練分析者と同等の精度の測定を可能とする技術を開発した。
環境省が定めている現行の迅速測定法は、フィルターで捕獲したアスベスト繊維を位相差顕微鏡で観察しながら繊維の本数を数えるという方法がとられている。これは、計測に時間がかかり、熟練分析者不足などの問題を抱えている。
開発した新技術は位相差顕微鏡で捉えた画像中の繊維をAIに読み取らせるもので、AIモデルと画像処理を組み合わせた自動検出システム。
熟練の分析者の計測と新開発したシステムを用いた計測を比較したところ、繊維検出精度、繊維計数精度とも遜色ない値が得られ、実環境試料に対して高い適用可能性を有することが示された。
今年度に位相差顕微鏡の静止画像を対象とした製品を、また来年度にはリアルタイムで検出処理可能な製品を市場投入する予定という。



