放射性セシウム濃度-山菜コシアブラで高い理由:国立環境研究所
(2026年5月7日発表)
上品なほろ苦さと香りの良さから「山菜の女王」とも称されるコシアブラの新芽に放射性セシウム濃度が他の山菜に比べて特に高いのはなぜ?国立環境研究所は5月7日、2011年の福島原発事故の影響で今も地元山林で採れるコシアブラの出荷制限が続く原因を突き止めたと発表した。コシアブラの若木は放射性セシウムを多く蓄積している浅い土壌層に根を張るため、養分とともに吸収しやすいことが一因という。野生の山菜利用や土壌中に残る放射性セシウム対策などの検討に役立つとみている。
コシアブラは春に旬を迎える落葉高木で、タラの芽と並ぶ人気の山菜として天ぷらなどの食材に使われる。ただ、原発事故の影響で周辺の山林で採れる山菜の中でも特に放射性セシウム濃度が高いことがわかっている。
そこで環境研はその原因を探るため、①地中で根はどのように分布しているか、②根は地中のどの深さで主に養分を吸収しているか、③新芽に含まれる放射性セシウムについて前年秋までに樹体に吸収されて新芽に移動したものと、前年の秋以降に土壌から新たに吸収されたものの比率、を詳しく解析した。
その結果、コシアブラの若木は深さ0~5cmの浅い土壌の根を集中させ、この層から養分を吸収していることが明らかになった。原発事故で飛散した放射性セシウムは主にこうした浅い層に蓄積していることがわかっているため、これがコシアブラの新芽に高濃度で残ったとみている。さらに、新芽中の放射性セシウムの90%以上は前年の秋から春にかけて吸収されたものではなく、過去に吸収され樹体内に蓄積されたものが春の芽吹時に移動してきたものであることがわかった。
これらの結果から、環境研は「根からの吸収に関わる土壌環境だけでなく、樹体内の再配分という植物の生理的特性も、野生山菜における放射性セシウムの動きにとって重要であることを示している」と話している。そのため今後、コシアブラの利用再開を目指すには、土壌管理の視点だけでなく、調理や加工による低減技術の検討も必要になると指摘している。



