自己複製する環状RNA―温泉で発見:筑波大学ほか
(2026年4月20日発表)
筑波大学と(国)海洋研究開発機構、(国)農業・食品産業技術総合研究機構の研究チームは4月20日、70~80℃という高温の温泉環境下で生息する微生物から自己複製する未知の環状RNAを発見したと発表した。高温環境下では直鎖型のRNAを持つウイルスはこれまでにも見つかっているが、環状構造の自己複製RNAが見つかったのは初めて。生命の起源や進化を理解する重要な手掛かりになると期待している。
人間も含めて生物の多くはDNAに遺伝情報を託して親から子へと代を重ねるが、ウイルスなどはRNAに託して自己複製することが知られている。RNAによる遺伝の仕組みは生命の起源や進化を考える上で重要とみられているが、どのような環境にどんな種類の自己複製RNAが存在するかについてはよくわかっていなかった。
研究チームは今回、DNAでも直鎖型RNAでもない環状構造をした新しいタイプのRNAを持つウイルスを温泉で生息する微生物群集から見つけた。さらにこの環状RNAは、遺伝情報を記す塩基配列がこれまでに知られている環状RNAとは大きく異なっていることもわかった。
その一方で、環状RNAの折りたたまれた立体構造や機能に関する特徴は、細胞内で自己複製するRNA分子の一つとして近年発見された環状RNA「オベリスク」とも共通点を持っていた。そのため高温極限環境下には、研究チームが以前に発見した直鎖型RNAウイルスに加えて、細胞内で自己複製能力を持つ、これまでとは異なるタイプの環状RNA分子が存在することも確認できたとしている。
研究チームは、今回の成果について「自己複製するRNAが特定の限られた環境だけでなく、高温極限環境にも多様に存在していることが初めて明らかになった」として今後、生命の起源や進化を理解するうえで重要な手掛かりになると期待している。



