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新型コロナウイルスのたんぱく質の異常な復帰変異を発見―出現頻度と地理的分布から、自然に起きたとする突然変異では説明がつかない:筑波大学

(2026年3月3日発表)

 筑波大学システム情報系の掛谷 英紀准教授らの研究チームは3月3日、新型コロナウイルスで感染性を高めたスパイクタンパク質のアミノ酸が、一旦消滅した後に再び元のアスパラギン酸(D614)へと復帰変異したゲノム配列を発見したと発表した。アメリカ国内の特定の地域にだけ集中して出現している。自然に起きた突然変異とする理論では説明がつかず、更なる詳しい解析が必要としている。

 新型コロナウイルスの表面には尖ったコーンのような突起構造(スパイク)がある。スパイクタンパク質と呼ばれ、ウイルスがヒトの細胞に侵入するための役割を担っている。

 世界的大流行の初期には、アスパラギン酸(D614)からグリシン(G614)への変異が急速に起こり感染性を高めた。その後G614はほぼ消滅したと見られていた。

 研究チームは米国立生物工学情報センターの公開ゲノムデータベース(NCBI GenBank)をあたり、数十万件に上るスパイクタンパク質のアミノ酸配列を解析し、復帰変異の出現頻度と地理的分布を体系的に調べた。

 その結果、アメリカ国内ではデルタ株(B.1.617.2)とオミクロン株(BA.2)に限りD614へ復帰変異していることが判明した。この復帰変異は、各系統の流行の最盛期より少し遅れて出現していた。

 地理的な分布では、デルタ株はミシガン州とイリノイ州周辺で多く、オミクロン株はニューヨーク州とニュージャージー州周辺に偏っていた。

 復帰変異は、アミノ酸の一つが別のアミノ酸と置き換わり(点突然変異)、よく似た塩基配列が途中で切断され(相同組換え)ることで、自然に遺伝情報が変化すると考えられていた。

 だが今回の変異株は、特定の地域にだけ集中して発生していることと、他系統とは明確に頻度が異なる特徴を持っていることから、自然発生説で説明するのは難しい。

 これらの異常パターンがどんなメカニズムで生じたかを解明する必要があるとしている。