[編集発行] (公財)つくば科学万博記念財団 [協力] 科学技術振興機構(JST)・文科省研究交流センター

つくばサイエンスニュース

トピックスつくばサイエンスニュース

小型テナガエビ類の生活史を解明―新たな資源管理手法として期待:国際農林水産業研究センターほか

(2026年3月12日発表)

 (国)国際農林水産業研究センターは3月12日、インドシナ半島内陸の重要な水産資源である「小型テナガエビ類」と呼ばれる淡水エビを一年間にわたってタイで毎月採集し産卵時期や、いつ捕獲されているのかなどの「生活史(一生の流れ)」を解明したと発表した。タイのウボンラチャタニ大学との共同研究による成果で、新たな資源管理手法として利用されることが期待される。

 テナガエビ類は、大陸の内陸部にまで分布している淡水で生息する水産資源。種類は、200種以上といわれ、雄のハサミの部分が大きいのが特徴。全体の大きさは、東南アジアを中心に養殖されているオニテナガエビという最も大きな品種では、ハサミの先から尾の先までが1mにもなる。

 今回研究の対象にした小型テナガエビ類は、そのオニテナガエビに次ぐインドシナ半島内陸部の地域食文化を支える重要材料で広く日常的に食べられている。

 このため、いつ産卵し、いつから漁業の対象になっているのかといった資源生物学的情報が求められている。

 しかし、小型テナガエビ類に関する科学的な情報は、まだほとんど明らかにされていない。従来の研究から小型テナガエビ類は、周年産卵することが知られているものの、産卵盛期の有無さえ明らかになっておらず、禁漁措置が資源保護に有効なのかどうかも十分に検証されていないのではとする声すらある。

 中でも生活史に関する知見は限られ、これまではミャンマーの一部河川の流域やタイ北部のメコン川流域での報告があるにとどまっている。

 特にタイ東北部の小型テナガエビ類については、生活史の情報が欠けていて、重要な水産資源であるにもかかわらず科学的根拠に基づく資源管理が行えず、小型テナガエビ類利用に必要な基礎的科学情報の整備が急務とされている。

 今回の研究では。タイ東北部ウボンラチャタニ県内で1年間にわたり毎月小型テナガエビ類を採集し、その生活史を解明した。

 その結果、小型テナガエビ類は周年産卵するものの、雨季の中頃6~8月に産卵盛期を迎え、乾季の11~12月には産卵が停滞することが分かった。

 さらに、孵化(ふか)したエビは、9~11月にかけて小型未成熟エビとして漁獲物の中に現れ始め、翌年の3~5月に孵化後1年未満で成熟して産卵を開始することを確認した。