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水タバコの中毒事例分析―危険性も理解を:筑波大学

(2026年3月2日発表)

 若者を中心に日本でも愛好者が広がる水タバコは、短時間使用でも一酸化炭素(CO)中毒の危険がある。筑波大学は3月2日、水タバコが関連したCO中毒について世界で報告された症例を分析、このような結果を得たと発表した。屋外など換気の良い場所での利用や吸引者の回りにいるだけでもCO中毒を起こした事例が報告されているとして、利用にあたってはCOモニターの設置や定期的な換気が必要と呼び掛けている。

 水タバコはシーシャやフーカーなどと呼ばれ、たばこの煙を水にくぐらせて吸引する。400年ほど前にインドで始まり、今もアジアや北アフリカに愛好者が多い。水に煙をくぐらせるため有害成分が除去されるとして、日本でも若者を中心に関心が高まっている。

 ただ、東京23区のうち南西部3区を管轄する東京消防庁第三消防方面本部管内では、2018年1月から2023年6月までに68件のCO中毒が報告されている。そこで筑波大の村木功教授らは、国内外の6つの学術データベースを対象に水タバコに関連するCO中毒の症例報告を収集・分析した。

 その結果、水タバコが関連する急性CO中毒の症例報告68例と、血液中の赤血球濃度が高くなる慢性CO中毒とされる多血症13例を確認。このうち急性中毒68例の内訳は、水タバコの使用者本人による単独の中毒41例のほか、複数人での利用による複数症例の同時発生が23例見つかった。また、水タバコを利用していない人や、水タバコ店の従業員に発生したケースもそれぞれ2例あった。

 症状は水タバコ使用に関連した急性CO中毒に多い失神が53%で最多で、他に頭痛50%、だるさ44%、吐き気・嘔吐38% 、脱力15%と続いた。ふるえや視覚障害、けいれんなども報告されていた。これら症例の4分の1は使用場所を離れた後に発症、5分の1は1時間未満の使用で、5分の1は屋外使用だった。また、慢性CO中毒の多血症も13例見つかり、12例は毎日水タバコを使用していたという。

 これらの結果から、短時間使用や屋外使用などでも「水タバコを提供する側も使用する側も、その危険性を十分に理解する必要がある」「特に屋内使用では、COモニターの設置や定期的な換気などを十分に行うことが重要」と、村木教授らは注意を促している。