月面にあるチタン鉄鉱の量を高精度で推定する技術を開発―月の資源開発推進に向けデータ基盤整備へ:産業技術総合研究所
(2025年2月24日発表)
(国)産業技術総合研究所の研究チームは2月24日、月面の有人活動を支える重要資源とされるイルメナイト(チタン鉄鉱)の含有量を、リモートセンシング衛星を使って高精度に推定する技術を開発したと発表した。月面基地の建設候補地選定や、月資源開発のための有力な手がかりが得られるとしている。
イルメナイトは鉄とチタンを主成分とする黒色または褐色の鉱物。地球では火成岩や堆積岩中に見られるが、月では火山性堆積物中に多く見られる。イルメナイトからは水や酸素、鉄、チタンが得られることから、有人活動にとって重要な資源と位置づけられている。
ただ、月面のイルメナイト分布には偏りがあり、その詳細は明らかでない。月面探査衛星のリモートセンシングによる反射スペクトルデータの解析は、イルメナイトの分布を知るための強力な手段の一つだが、イルメナイトは他の主要構成鉱物との混合比率によってスペクトルの特徴が著しく変化することから、従来の解析手法では含有量を正確に推定することは困難だった。
研究チームは今回、イルメナイトと輝石の混合粉体で月面を模擬・再現し、反射スペクトルデータを取得した。このスペクトルデータを解析することにより、イルメナイト含有量を正確に推定するための指標を確立した。
月のような小天体の表面で見られる細粒の堆積物を総称してレゴリスという。月に存在するものと同等の粒径にイルメナイトを粉砕して輝石と混合し、月のレゴリスを再現した。混合比率を0%から50%まで、最大25段階で変えながら反射スペクトルデータ解析を行うことにより、イルメナイトを含有する混合物の分光特性を明らかにした。
あわせて、実験試料の形状観察および化学組成分析を行うことで、信頼性の高い月探査スペクトルデータ解析に有効なデータ基盤を整備した。
これによりイルメナイトの含有量をリモートセンシングによって高い精度で推定できるという。月の資源開発推進への貢献が期待されるとしている。



