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CO2固定酵素ルビスコ、進化過程で最適な性質獲得―最適化が樹種の多様性や光合成戦略の多様性支える:北里大学/京都大学/国際農林水産業研究センターほか 

(2024年5月21日発表)

 北里大学、京都大学、(国)国際農林水産業研究センター(国際農研)、玉川大学の共同研究グループは5月21日、「光合成の二酸化炭素(CO2)固定酵素ルビスコが、進化の過程で種ごとに最適化された性質を獲得し、種の多様性を支えている」ことを発見したと発表した。

 この最適化は森林生態系における樹種の多様性や光合成戦略の多様性を支える重要な要素であると考えられるという。

 ルビスコは大気のCO2を有機物に固定する酵素だが、CO2だけではなく、酸素(O2)も有機物に固定する性質がある。O2を固定する場合は有機物の分解とともにCO2の放出をもたらしている。

 この性質は森林によるCO2の吸収や農業生産を阻害していると考えられ、ルビスコがCO2とO2のどちらをより固定しやすいか、どちらに親和性か高いかを示す指標としてSC/Oという値が用いられる。SC/O値が高いルビスコほど正確にCO2を選別することができることを示す。

 これまで、陸上のC3植物のルビスコは、CO2濃縮機構を持つC4植物や藻類に比べてSC/O値が高く、CO2の選別能力が優れていることが知られていた。

 

 研究グループは今回、過去に大陸と一度もつながったことがない海洋島である小笠原諸島の父島に自生する23種の樹木種を対象に、ルビスコのSC/O値と葉のさまざまな性質を比較した。

 その結果、父島で共存するC3樹木種はルビスコのSC/O値に1.7倍もの種間差があること、葉寿命が長く葉面積当りの有機物量の多い種ほど、CO2の選別が正確なルビコンを持つこと、さらに葉寿命の長い種は葉面積当りの有機物量が多く、葉緑体内のCO2が少なく、葉のたんぱく質量が多い、などの特徴を併せ持つことがわかった。

 植物のCO2固定酵素ルビスコは種ごとに最適化され、森林での種の共存と光合成戦略の多様性を支えていると考えられるとしている。