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パセリ油の分子構造解明―新しい抗菌薬や抗肥満薬実現も:京都工芸繊維大学/大阪公立大学/京都大学/理化学研究所ほか

(2024年5月21日発表)

 京都工芸繊維大学、(国)理化学研究所、筑波大学などの研究グループは5月21日、パセリに含まれる油脂の主成分「ペトロセリン酸(PSA)」が新たな抗菌薬やアトピー性皮膚炎治療薬、抗肥満薬になる可能性があると発表した。ペトロセリン酸が病原性の強い黄色ブドウ球菌に結合して作る複合体の立体構造を世界で初めて解明、黄色ブドウ球菌の病原性を阻害する仕組みを突き止めた。

 大阪公立大学、京都大学も加わった研究グループが解明したのは、黄色ブドウ球菌が作る病原因子の一つ「リパーゼ」とパセリからの抽出物「ペトロセリン酸」が作る複合体の立体構造。X線構造解析などの手法を用いて原子レベルでその構造を詳しく解析、ペトロセリン酸が病原因子のリパーゼの働きを抑制する仕組みを解明した。

 実験の結果、リパーゼの働きを抑制する力は既存の阻害剤と同等レベルの強さをもっていることも確認。さらに、その活性度が抗肥満薬としてすでに実用化しているオルリスタットと同等の強さであることも突き止めた。

 また、パセリ油の主成分であるペトロセリン酸分子は、黄色ブドウ球菌の病原因子「リパーゼ」の活性部位である立体構造「鍵穴」にぴったりはまり込む「鍵」の立体構造を持っていることも解明した。こうした分子構造を持つことから、パセリ油の主成分であるペトロセリン酸が黄色ブドウ球菌の病原因子「リパーゼ」に対して強い親和性を示すことが分かった。

 これらの結果から、研究グループは「ペトロセリン酸のようなリパーゼ阻害剤は、既存の抗菌薬の効かないMRSA感染症や、黄色ブドウ球菌によって引き起こされるアトピー性皮膚炎などの治療薬になることが期待できる。」、「ヒトのリパーゼへの阻害の可能性も示唆されるため、抗肥満薬への適応も期待される。」と話している。