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植物性食品のおいしさ向上を目指す官能評価法を開発―動物性、植物性スープのおいしさの違いを明らかに:農業・食品産業技術総合研究機構ほか

(2023年9月8日発表)

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門と不二製油グループ本社株式会社・不二製油株式会社の研究グループは9月8日、とんこつスープを使って動物性食品と植物性食品のおいしさの違いを明らかにする官能評価法を開発したと発表した。この評価法を他の食品に応用することで、新たなおいしさを備えた植物性食品の開発につながるとしている。

 このところ健康上の理由や消費者の嗜好の多様化、宗教や思想による食事制限などで、植物由来の原料を用いた「植物性食品」のニーズが高まっている。

 しかし動物性食品と比べると、まだ「おいしくない」「味が物足りない」との不満も聞かれる。そこでおいしさの面で何が違っているか、物足りなさの原因は何かの解明が求められていた。

 熟練の評価者7人が、市販の動物性とんこつ、植物性とんこつ(風)スープの匂いを嗅いだり、食べたりしてその特徴を言葉で表現した。そこから得られた289語の言葉を整理し、両スープの特徴を表現する33の用語を決定した。

 この言葉を使って、熟練のパネリスト7人が、代表的な12種類の動物性、植物性のとんこつ(風)スープの感応評価を実施した。データの特徴を統計手法による主成分分析で実施し、味や香りの特徴を視覚的に表した。

 動物性スープからは、「油脂感、獣臭、しょうゆの香り」などの言葉で表現される特徴があり、植物性スープには「しょうがの風味、野菜の風味、鶏がらスープの香り」などの言葉があった。

 また一般の消費者が何を重視するかを知るため、男女12人に実食とインタビューを実施。スープのおいしさや物足りなさと関連する要因として、「濃さ」「複雑さ」「動物っぽさ」のキーワードを得た。

 「動物っぽさ(動物感)」に着目し、一般消費者34人にとんこつスープ2種の「動物感」の強さを評価してもらったところ、その捉え方には複数のパターンが見つかった。

 全体的な味が濃いと「動物感」が強く、味が薄いと動物感を弱く感じるパターンや、しょう油や味噌の香りや風味が感じられると動物感を強く、スパイシーさが感じられると動物感を弱く感じるパターンが見出された。

 今後、両スープの特徴と消費者が実際に食べた時に感じる動物感やおいしさを、個人差を考慮しながら照らし合わせ、味や香り、風味をどう制御すれば、消費者一人一人により高い満足感が与えられるかを探ることにしている。