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気温が高くても濃赤色に色づくリンゴの新品種「錦秋」を開発―糖度が高く、広範な地域で作れる:農業・食品産業技術総合研究機構

(2018年6月12日発表)

「錦秋」の結実状況
(提供:農研機構果樹茶業研究部門 )

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構は612日、気温が高くても濃赤色に着色し易いリンゴの新品種を開発したと発表した。

 リンゴの収穫期は8月から11月までだが、温暖化の進行に伴い早生(わせ)の赤色品種の着色不良が大きな問題になっている。

 中生(なかて)品種でも気温が高い状態で収穫に入るケースが増えてきたため同様の着色不良が生じ易くなり対策が求められている。

 今回開発したのは、中生品種。名称は「錦秋(きんしゅう)」。秋の収穫期に濃赤色に熟した果実を、錦のように色鮮やかな紅葉に例えて名付けたと農研機構はいっている。

 現在日本で最も多く生産されている中生品種のリンゴは、米国生まれの酸味がやや強い「ジョナゴールド」で全国の年間生産量は51,000tあまりだが、このところ生産量が減少する傾向にあり、代わって甘い味の「シナノスイート」などが増えている。

 そこで農研機構は、高温条件下でも濃赤色に着色し易く「シナノスイート」とは収穫期が異なる甘い新中生品種を実現しようと今回の「錦秋」を開発した。

 東北地方以南の温暖なリンゴ産地でも濃赤色に色づいた甘味と酸味のバランスがとれたリンゴができるという。

 同機構は、岩手県の盛岡市で「錦秋」の育成を2014年から2016年まで行っているが、「シナノスイート」より甘い果実を2週間程度早く収穫できることを確認している。

 「錦秋」は寒冷な地域でも作れることから同機構は「広範なリンゴ産地で普及が見込まれる。栽培適地は、北海道から北陸・東海地方にかけてのリンゴ産地」といっている。