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小笠原の「セグロミズナギドリ」は固有種だったことを証明―分類が二転三転、新名称は昔の「オガサワラミズナギドリ」か?:森林総合研究所

(2018年1月25日発表)

小笠原諸島の“セグロミズナギドリ”。南硫黄島の繁殖地で撮影。(提供:森林総合研究所)

 (国)森林研究・整備機構 森林総合研究所は125日、小笠原諸島に生息する海鳥のDNA分析をしたところ、南硫黄島と東島だけに固有の極めて珍しい鳥であることを証明したと発表した。世界自然遺産・小笠原の隠れた固有種の発見はこの地域の価値を更に高めるとみられる。

 この鳥は体長約30cm、翼を広げた長さが約70cm、上が黒色で下が白色の小型ミズナギドリ。世界に広く分布するセグロミズナギドリより翼の下の白色部が広い。

 南硫黄島などで捕獲した計10羽のDNAを抽出し、世界各地のミズナギドリと比較したところ全く別系統と断定した。他地域の種とは80万年以上前に分化したと考えられる。

 1915年に新種として発見され当時は「オガサワラミズナギドリ」という和名で一時呼ばれたことがある。

 その後、外見上良く似たヒメミズナギドリやセグロミズナギドリなどと同種と考えられた時期もあった。最近では大西洋やインド洋にも分布するセグロミズナギドリの分類の下位階級(亜種)と見なされるなど、分類が二転三転した。

 繁殖地が南硫黄島と東島の2つの無人島に限定されているため、調査が進んでなく、解明が遅れていた。環境省は絶滅危惧IB類に指定している。

 小笠原の固有種とは、ここで絶滅すれば世界から完全に消滅するもので、この鳥の保全の必要性はこれまで以上に高まってきた。そのためには、捕食者のネズミの駆除と、環境を悪化させる外来植物を駆除し、積極的に自然再生を進めることが必要と強調している。