高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究開発機構は10月27日、両機構が共同で東海村(茨城)に建設している「大強度陽子加速器施設(J-PARC)」のニュートリノ(素粒子の一つ)発生装置を報道陣に公開した。
J-PARCは、プラスの電荷を持つ陽子(水素の原子核)を光速(秒速約30万km)の99.98%の速度にまで加速できる加速器。すでに構成機器の内のリニアック(線形加速器)、シンクロトロン(円形加速器)などの加速器施設が完成し、陽子ビームを使っての調整運転が進んでいる。
今回公開されたのは、「ディケイボリーム」と呼ばれるトンネル状の施設。光速近くまで加速した陽子をこの施設内で標的の炭素に衝突させ、発生したニュートリノを約300km離れた岐阜県の神岡町(飛騨市)にあるニュートリノ検出装置「スーパーカミオカンデ」に向けて打ち出し、変化を調べることを目指している。公開されたディケイボリームのトンネルの長さは、約94mで、完成後は一切中に入れなくなる。
No.2008-42
2008年10月27日~2008年11月2日