(独)防災科学技術研究所は10月30日、今年の6月14日に発生した「岩手・宮城内陸地震」の波形データを詳細に解析したところ、大加速度時には地震動が、下向きに比べて上向きに大きく揺れる「非対称性(片揺れ)」となる現象が起こることを世界で初めて発見、この片揺れ現象を「トランポリン効果」と名づけたと発表した。
断層の近くの強震動の特徴を知ることは地震防災上重要だが、大地震の発生頻度が低く、対象地域が狭いことからデータ収録の機会が非常に少なく、地震動の大きさ(振幅)や波形などの特徴について十分な知見が得られていない。
岩手・宮城内陸地震では、同研究所が運用する「基盤強震観測網」の観測点のうち、ほぼ断層中央部に位置する一関西(いちのせきにし=岩手)観測点において、三成分合成で4022ガル(ガルは加速度の単位)lという非常に大きな加速度が記録された。この加速度記録で最も特異な点は、地表における上下動成分が明らかに非対称な波形形状を示している点で、上向きの振幅は下向きの2.2倍以上あった。
上下非対称な地震動を生むメカニズムは、これまでに知られている線形、非線形の波動伝播理論では説明できず、今回、初めて明らかにされた。この現象が起きると表層地盤は、トランポリンのように振る舞うことから「トランポリン効果」と名付けた。
No.2008-42
2008年10月27日~2008年11月2日