巨大地震が過去にインド洋で繰り返し起きていた痕跡を発見
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は10月29日、タイ、米国、オーストラリアの大学・研究機関と共同で行ったタイ南部プラトン島での国際共同調査で、2004年12月のスマトラ島沖大地震の時に生じた津波に匹敵するほどの巨大津波が過去にインド洋で何回か起きていたと推定される痕跡を発見したと発表した。
 M(マグニチュード)9.1~9.3のスマトラ島沖大地震時の津波による死者は、タイ、インドネシアなどで20万人以上に達したと言われている。今回の調査には、同研究所の他に、タイのチュラロンコン大学、米国のワシントン大学、それに米国とオーストラリアの地質調査所が参加した。  
 調査地点のプラトン島は、インド洋沿岸のプーケット島(タイ)の北125kmにあり、2004年の津波の際にはマレー半島で最大となる20m近い浸水と長さ2km以上の海水遡上が観測された。研究チームは、同島の150以上の地点でボーリング調査などを行い、2004年の津波とそれ以前の津波による堆積物を探した。
 海岸近くの2つの湿地では、穴や溝も掘って堆積物の詳細な調査を行い、2004年の津波堆積物より下に2~3の砂層を発見した。それらは、堆積状態が2004年の砂層と似ていることから過去の大津波の堆積物と考えられ、その津波堆積物の直下の地層から採取した試料(植物遺体)の年代測定を行った結果、それらの津波堆積物はそれぞれ550~700年前以降、2200~2400年前以降に溜まったと推定された。
 スマトラ島沖大地震が生じたインド洋スンダ海溝沿いでは、1881年にも大地震が発生、インドで高さ1m以下の津波襲来の記録があるが、今回の調査ではその時の津波に相当する津波堆積物は確認されなかった。

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