「鑑賞用の稲」の新品種を開発
:農業・食品産業技術総合研究機構

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構は9月18日、東北地域で栽培が可能な鑑賞用水稲の新品種として、赤穂(あかほ)の「奥羽観378号」、紫穂(むらさきほ)の「奥羽観379号」、また、東北地域中南部以南で生産が可能な玄米が極めて小さい紫黒米の新品種「奥羽紫糯(おうう・むらさきもち)389号」を開発したと発表した。
 近年、水田の新たな有効利用の一つとして、稲を食用としてだけでなく鑑賞用として作付けする動きが見られる。同機構の東北農業研究センターでは、3年前に葉に白縞が入り、穂が紫色の鑑賞用品種「奥羽観383号」を開発したが、利用者からは1品種だけでは不十分で、色や形が異なる複数の鑑賞用品種を求める要望が高まっていた。
 今回開発した「奥羽観378号」は、穂に赤褐色の長い芒(ぼう)(籾の先にある毛)があり、頴花(えいか)(稲の穂につく花)も赤色になるため、穂揃い期には穂全体が赤色に見える。「奥羽観379号」は、穂に紫色の長い芒があり、頴花も紫色になるため、穂ぞろい期には穂全体が紫に見える。
 赤穂の「奥羽観378号」、紫穂の「奥羽観379号」、白縞葉・紫穂「奥羽観383号」のいずれの品種も、水田の景観作物、切り花、ドライフラワーなどに加工利用でき、3種類を組み合わせることで、色や形のバリエーションが増え、地域の活性化につながるものと期待される。
 「奥羽紫糯389号」は、やわらかくプチプチとした食感をもち、栄養成分を多く含む極めて小粒の紫黒米のモチ米品種で、赤飯や雑穀飯をはじめ多様な料理や加工品の新しい素材としての利用が期待できる。

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