草から木に変わる植物を発見:森林総合研究所

 (独)森林総合研究所は9月16日、日本各地に生育する低木の一種「ニワトコ」が実は草から木に姿を変える植物であることを発見したと発表した。
 ニワトコは、日本とその周辺に分布するスイカズラ科の落葉低木で、春には泡立つような明るい花を咲かせ、夏の終わりには鈴なりの赤い実をつける。
 森では、茂る枝葉が幾重にも階層を形成するため、地面近くの低層は暗くなる。ニワトコは、日なたを好む低木だが、森の中でも生育し、これまでは鳥の糞に含まれた種子が森のわずかな明るい場所に偶然落ちて成長するのではないかと考えられてきた。
 同研究所は、北茨城市(茨城)の小川群落保護林を調べたところ、地面近くの暗い低層にも幼い未成熟のニワトコが多数生育し、その多くが木の幹を持っていないことを見つけた。さらに長期にわたって観察を続けると、ニワトコの実生(子供)は、地上の茎の部分だけが枯れては新たな茎を伸ばすことを繰り返し、多年草のように忍耐強く生き続け、周りの高木が倒れるなどして光が差し込むようになると、茎が直ちに木質化した幹に変化し素早く伸びて木に変身することを発見した。
 光環境に応じて草から木に姿を変える植物が見つかったのは、世界でも始めて。この成果は、米国の学術誌「エコロジー」に掲載された。

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