「伝統的木造住宅」の耐震実験を公開
:建築研究所/防災科学技術研究所

 (独)建築研究所と(独)防災科学技術研究所は1月29日、つくば市(茨城)の防災科学技術研究所の振動台で共同して行った「伝統的木造住宅」の耐震実験を公開した。試験体には、耐震設計に使われる「震度6強」相当の人工地震波と阪神大震災時に神戸海洋気象台が記録した地震波の揺れを加えたが、倒壊に至らない強さを見せた。建築研などは実験結果を基に安全な伝統的木造住宅造りのガイドライン作りなどを進める。
 この実験は、建築研が平成18年度から3年間で進める「伝統的木造建築物の保全に資する構造・防火関連の技術開発」の一環として実施したもので、木造建築物の耐震要素となる垂れ壁と柱で出来た構造の地震時の挙動解明が目的。
 実験は、15cm角の国産の杉の柱で作った高さ3.33m、幅5.46m、奥行き1.82mの箱型の試験体を用いて行った。天井部分との間の垂れ壁は、高さ70cmの伝統的な土塗り壁で、厚さは7cm。
 柱の脚には、柱相互を連結する足固めという部材を入れ、ここから柱を架台にアンカーボルトで固定した。固定しない場合の実験は既に実施している。
 この日の実験は、試験体の長辺方向への1方向だけの揺れを加えるものだったが、人工地震波の場合は最上部の揺れ幅が94mmで、最大35分の1の傾きにとどまった。これが阪神大震災時の地震波になると、揺れ幅が153mmに広がり、傾きも安全限界に近い20分の1に達したが、倒壊には至らなかった。しかし、上部の土壁にはひびが入り、中央部の継ぎ手が破損した。

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耐震実験に使った伝統的木造住宅の試験体(提供:防災科学技術研究所)