(独)産業技術総合研究所は1月31日、独自技術をベースにした硫酸を使わない環境に優しいバイオマス エタノール燃料製造プラントの開発を開始したと発表した。
このプロジェクトは、平成19年12月から平成23年3月までの約3年半にわたって実施し、「雑食性バイオマス」と呼ばれる多種多様なセルロース系のバイオマス(生物資源)からエタノール燃料を製造するまでの一貫した生産技術を開発・実証する。
近年、原油価格の高騰に伴い、再生可能な木材や紙など多種多様な有機物を資源とするバイオマス燃料への関心が高まっている。従来、木や紙などを原料とするセルロース資源から化学合成でエタノール燃料を作る技術として、硫酸を使う技術の開発が行われてきたが、硫酸廃棄物処理などの環境対策や経済性などをめぐって難しい問題があった。
同研究所では、これまで独自に開発した「水熱処理」と「湿式メカノケミカル」という2つの処理技術を組み合わせると共に、現在我が国にある技術も活用して、硫酸を使わない非硫酸方式のバイオマス エタノール燃料の生産技術の開発を進めてきた。
このプロジェクトでは、まず試験1号機として、セルロース系バイオマス資源を処理し、200kgの原料から60ℓのエタノール燃料を作り出すミニプラントを建設し、ミニプラントでの運転を通じて基礎的なデータを取得する。
その後、これらのデータを基に実用化プラントへの展開につながる試験プラント2号機を設計・建設し、開発したバイオマスエネルギー製造システムの経済性評価・ライフサイクル評価などを行うことにしている。
No.2008-4
2008年1月28日~2008年2月3日