厚さ2mmのエレクトロクロミック表示デバイスを開発
:物質・材料研究機構

  (独)物質・材料研究機構は10月25日、エレクトロクロミック(EC)性のある有機・金属ハイブリッドポリマーを用いて、電子ペーパーなどに使える薄膜のEC表示デバイスを開発したと発表した。大きさが10cm角のデバイス自体の厚さは約2mmだが、厚さ0.75mmのガラス電極2枚で挟んだデバイス駆動部分の厚さは0.5mmしかない。
 多様な色が表示できる薄膜EC表示デバイスの出現は電子ペーパーのカラー化に向けた朗報と言えよう。
 電気をかけると色が可逆的に変化するEC材料は、動画には対応できないが、電源を切っても表示が続くので、紙(ペーパー)に代わる電子ペーパーなどに適している。しかし、一般に従来の有機ECは、電解質溶液中でしか駆動しないので、固体デバイス化が難しく、耐久性にも問題があった。
 同機構は、既に開発済みのEC性有機・金属ハイブリッドポリマーを使って固体デバイス化に挑戦、用いる固体電解質を工夫することで、応答性や繰り返し安定性に優れた固体薄膜EC表示デバイスを実現した。開発したデバイスは、単3電池2個で動き、書き込み・消去時間は共に1秒以内。
 このポリマーは、金属イオンと有機分子を数珠つなぎにした新しいタイプの材料で、従来のEC材料とは全く異なるメカニズムで発色する。開発したデバイスは、このEC材を2枚の透明ガラス電極でサンドイッチ状に挟んでいる。このデバイスは、電子ペーパーの他にも、広告用のポスターや看板、住宅用の調光ガラスなどへの応用が期待される。

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