(独)産業技術総合研究所は10月22日、乾電池で動作する持ち運びが容易な、超小型電子加速器を開発したと発表した。 この超小型電子加速器は、大型加速器と同じように高周波(マイクロ波)を用いて電子ビームを加速する電子線形加速器。本体部の長さは約20cm、重量は約1.5kg。 単三乾電池10~12本を電源にして100キロ(10万)電子ボルト以上の高エネルギー電子ビームを発生させることができ、その加速した電子を金属のターゲット(標的)にぶつけるとX線が出る。このX線を1~10分程度照射すると1枚のX線透過像を撮影できる。 物を壊さないで測る非破壊検査の重要性が高まり、特に、建物構造物や工場のプラントなど移動することができないものでは、現場で使用する非破壊検査機器がいる。小型ケースにすべて収まり、片手で持ち運びができる新加速器は、作業現場で使うポータブルX線源として期待される。 高周波を用いた電子加速器は、空洞共振器に発生する高周波の周期的電場によって電子を加速するので、加速部には大きな絶縁体が無くても高エネルギーの電子ビームを発生でき、共振周波数を上げることで管球型よりも小型にできる。今後は、さらに小型化と高エネルギー化を進め、実用化する計画。
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新開発の超小型電子加速器(提供:産業技術総合研究所) |
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