(独)産業技術総合研究所は10月24日、マイクロ波技術を利用してセラミックス製造の成形・乾燥・焼成などの工程を統合・簡略化し、全工程を通じての製造時間を従来の半分以下に短縮できる新プロセスを開発したと発表した。
新開発の崩壊式成形型を使ってマイクロ波加熱を行うことで、従来の一連の工程から脱型(型から取り出す工程)と添加物を除去する工程を無くすことに成功したコンパクトプロセスで、製造に必要なエネルギーと二酸化炭素の排出削減が期待できる。
代表的なセラミックス製造法の鋳込み成形法では、原料の計量、粉砕、分散・混合、成形、脱型、乾燥、脱脂、焼成、後加工の順で工程が進む。脱脂とは、成形に使う有機バインダーを加熱除去することだが、これに要する時間は数十~数百時間に及ぶこともある。こうした工程の時間を短縮するため、同研究所は鋳込み(成形)、脱型、乾燥、脱脂、焼成の各工程を統合化してしまうマイクロ波加熱法を生み出した。
この新プロセスでは、泥状の原料を崩壊式の型に流し込んだ後、脱型することなく、マイクロ波加熱炉で乾燥から焼成までの加熱工程を一貫して行うので作業時間が短縮される。成形から焼成までの時間は、従来法の5分の1以下になり、全体の製造時間は半分以下になる。この型は、原料の鋳込み、乾燥時には成形型となり、焼成時には断熱材及びマイクロ波吸収材となり、焼成後は崩壊して簡単に製品を取り出せる。この型材粉末は、繰り返し使用できる。
No.2007-42
2007年10月22日~2007年10月28日